先物取引

投資初心者のための「先物取引」の基本知識まとめ

先物取引とは、将来の商品や株を今現在の価格で売買する取引のことです。
株式投資やFXに比べ、「難しそう」「仕組みがよくわからない」と感じる人が多くいます。
投資初心者の人の中には、先物取引という言葉自体聞き慣れないかもしれません。

そこで今回は、投資初心者の人でも先物取引がどのような仕組みなのか、またどのような銘柄を取引できるのかなど、先物取引の基本知識を分かりやすく解説していきます。

先物取引とは

先物取引は、将来の商品や株を今現在の価格で売買する取引です。
この取引の流れをイメージしやすいように次の例を紹介します。

先物取引の流れ

Aさんは今現在1本100円のトウモロコシを、6か月後に100本購入する予約をします。
つまり、1本100円×100本=10,000円を6か月後に支払います。

ところが、天候不順の影響でトウモロコシの収穫量が少なく、6か月後のトウモロコシの価格は1本あたり150円になりました。この時、トウモロコシを100本購入したいというB
さんがいました。

Aさんは10,000円で買う予定だった100本のトウモロコシを、Bさんに150円×100本=150,000円で売ることが出来ました。
よって、Aさんは10,000円で買う予定のトウモロコシを15,000円で売ったので、差額の5000円の利益が出たことになります。

これが、先物取引の一連の流れです。

また、先物取引は「売りから入れる」という特徴があります。
今現在は保有していない銘柄であるにもかかわらず、売りをすることができるのです。
そして、その銘柄の価格が下がったときに買い戻しをします。そのときの売価と買戻したときの差額が利益となります。
先物取引には、買いでも売りでも取引を始められ、利益を上げるチャンスが多いことが特徴の一つです。

そして先物取引には、2種類あります。
1つが、“商品先物取引”と言われ、エネルギー資源、貴金属類、農産物、工業製品などの実物を対象銘柄とし、これらの将来的な価格変動を予測する取引です。
もう1つが、“金融先物取引”で、国債、金利、株価指数などの実物のないものを対象とし、同様に将来の値動きを予測する取引です。

先物取引でよく使われる基本用語

ここでは、先物取引独特の用語について解説していきます。
取引期限がある先物取引ならではの用語があるので、実際の取引を始める前にしっかりと覚えていきましょう。

・建玉(たてぎょく)
建玉は「ポジション」ともいい、新規に売買注文を行ったが、まだ決済はしていない状態のことをいいます。さらに、買いの状態を「買い建て」、売りの状態を「売り建て」といいます。また、先物取引では取引単位として「枚」が使われます。

・限月(げんげつ)
先物取引では、売買注文をした商品の最終決済月のことをいいます。
例えば、金先物の場合、取引の期限は偶数付きごとに訪れ、およそ1年先までと定められています。今が1月だとして、2月限、4月限、6月限、8月限、10月限、12月限となり、これらを限月といいます。
その中でも一番活発に取引されているのは、決済までの期限が最も近い2月限です。このとき期限から最も遠い限月を「先限(さきぎり)」、逆に最も近い限月を「当限(とうぎり)」といいます。

・証拠金
先物取引は「証拠金取引」という方法で取引を行います。証拠金の金額は証券会社によって異なりますが、例えば100万円分の商品に必要な証拠金が8万円だとすると、実際にはその8倍、800万円分の取引が可能になる仕組みです。また、証券会社ごとに最低証拠金が定められています。

・追証(おいしょう)
証拠金が不足すると請求されるのが追証です。追証の請求が来た場合、投資家は証拠金の不足分を追加で支払うか、支払わずに決済をする、つまり損切りを行うのか決断することになります。

商品先物取引

まずは、商品先物取引の特徴や取引対象の銘柄などについて解説していきます。

商品先物の特徴

前項で解説したように、商品先物は誰でも買いからでも売りからでも入ることができるため、利益を上げるチャンスが多くあります。株式投資でも信用取引(空売り)を利用することで売りでも稼ぐことは利益を上げることは可能ですが、信用取引を行うには特別な手続きが必要となります。
(→「信用取引」についての記事を読む

また、対象となる銘柄は株式投資では企業の個別株式ですが、商品先物ではエネルギー資源、貴金属類、農産物、工業製品など私たちの生活と密接に関係するものです。
そのため、これら先物商品の価格変動は世界経済に大きな影響を及ぼし、結果的に私たちの生活にも影響するため、非常に重要な市場とされています。

商品先物の対象銘柄

日本で商品先物を取り扱っている取引所は、東京商品取引所と大阪堂島商品取引所の2か所となっています。そして、それぞれの取引所で対象商品が異なりますので、取引所ごとの取引時間(立会時間)と対象商品について紹介します。

東京商品取引所
日中立会時間 8:45~15:15
夜間立会時間 16:30~5:30(ゴム市場に限り、16:30~19:00)

◇対象商品
・ゴム市場…ゴム
・貴金属市場…金、銀、白金、パラジウム、金先物オプション
・石油市場…ガソリン、灯油、軽油、原油
・中京石油市場…ガソリン、灯油
・アルミニウム市場…アルミニウム
・農産物・砂糖市場…一般大豆、小豆、とうもろこし、粗糖

大阪堂島商品取引所
前場1節 9:00 ~ 
東京コメ→大阪コメ→とうもろこし→米国産大豆→小豆
前場2節 10:00 ~ 
東京コメ→大阪コメ→とうもろこし→コーン75指数→冷凍えび→粗糖
前場3節 11:00 ~
東京コメ→大阪コメ→とうもろこし
後場1節 13:00 ~
東京コメ→大阪コメ→とうもろこし→小豆
後場2節 14:00 ~
東京コメ→大阪コメ→とうもろこし→コーン75指数→冷凍えび→粗糖
後場3節 15:00 ~
東京コメ→大阪コメ→とうもろこし→米国産大豆→小豆
※各商品の立会いは、各時刻に順番に行われます。

◇対象商品
・冷凍エビ(ブラックタイガー)
・コーン75指数
・小豆
・粗糖
・米国産大豆
・とうもろこし
・東京コメ
・大阪コメ

主な銘柄の特徴

これらの対象商品の中で取引量が多く、一般投資家の人気が高い商品、初心者が比較的取引しやすい商品や取引が難しい商品の特徴について解説していきます。

① 金
金は、商品先物の対象商品の中でも流通量が多く、急激な価格変動きも少なく比較的安定しています。そのため、先物取引が初心者の方も取引しやすく、1日の価格変動が緩やかなので短期トレードより中・長期投資に向いた商品です。
将来の価格変動の予測も他の商品よりしやすいと言われ、金の需要や世界の経済動向にだけ注意していれば良いという特徴もあります。

② ガソリン
石油市場の中で最も流通量が多い商品です。普段、自動車を運転する機会が多い人は想像しやすいかもしれませんが、ガソリンは短期間の間に価格が変動します。先物商品の中でも価格変動は比較的激しく、初心者が取引をするには難しい商品といえます。

③ とうもろこし
農産物の中で最も取引量が多い商品です。価格に透明性があり、急激な価格変動も発生しにくいという特徴があります。そのため、一般投資家(初心者)比較的取引しやすい商品といえます。
また、価格変動が発生する要因としては、やはり天候不順や災害などがあげられます。

④ 大豆
大豆は、とうもろこしに次いで農産物の中で取引量が多い商品です。とうもろこしと同様に、価格に透明性があり、多くの一般投資家が取引している商品です。
価格変動も天候不順や災害による影響が主要因であるため、注意を向けるポイントが少なく初心者も取引しやすい商品です。

金融先物取引

次に、金融先物の特徴や取引対象の銘柄などについて解説していきます。

金融先物の特徴

金融先物も商品先物と基本的な考え方は同じです。将来の価格を予測して売買を行います。金融先物も買いでも売りからでも入ることができます。
先物取引と一言でいうと、一般的には商品先物がイメージされやすいのは、以前は、金融先物は一般投資家には難しく、プロの投資家が扱う銘柄と考えられていたからです。しかし、近年は一般投資家が少額でも取引できるような仕組みが構築されたことで、一般投資家の取引量も増えてきています。

金融先物の対象銘柄

大きく以下の3種類に分けられます。

① 国債先物取引
これは国債証券を取引対象とした商品です。つまり、将来の国債の価格が上がるのか下がるのかを予測して売買する仕組みです。
先物商品の対象として上場しているのは、中期国債(満期5年)、長期国債(満期10年)、超長期国債(満期20年)があります。
国債の価格変動は、金利の価格変動と相関関係にあり、国債の価格が上がれば金利は下がり、国債の価格が下がれば金利が上がると予測できます。

② 金利先物取引
将来の金利が上がるか下がるかを予測します。
現在日本国内では、東京金融取引所に上場している、「ユーロ円3ヵ月」「ユーロ円6か月」が対象商品としてあります。
金利先物は、一般投資家による取引量は少なく、主に証券会社や銀行に勤めているプロのトレーダーが主に取引しています。

③ 株価指数先物
日本国内では、東京証券取引所、大阪証券取引所で取り扱われています。
対象銘柄の株価の指数が将来上がるか下がるかを予測するものであり、主に日経225(日経平均株価先物)、日経株価指数300先物、日経225mini、東証株価指数先物があります。

その他にも株価指数先物には以下のものがあります。

・NYダウ先物
米国の大手有名企業30銘柄の株価を指数化した先物商品です。
NYダウの数値をそのまま円建てで取引するため、日本円での取引が中心の国内投資家にとっては、取引コストや通貨管理の面においてメリットがあります。

・JPX日経インデックス400先物
JPX(東京証券取引所)と日本経済新聞社が共同で選定した、優良銘柄400社の株価を指数化した先物商品です。「投資者にとって投資魅力の高い会社」で構成される新しい株価指数となります。

・TOPIX先物
東証1部上場の全企業を対象とした株価を指数化した先物商品です。
取引単位を10分の1とした、ミニTOPIX先物という商品もあります。
少額資金で投資したい方にはおすすめです。

・日経平均VI先物取引
日本経済新聞社将来が、日経平均株価の変動の大きさを推定した指数である日経平均ボラティリティー・インデックス(日経平均VI)を対象とする先物商品です。日経平均VIの株価変動率は日経平均株価に比べ大きいため、比較的リスクの高い商品といえる。

・東証REIT指数先物
東証市場に上場する不動産投資信託(Real Estate Investment Trust)の全銘柄を対象とした「時価総額加重型」(※1)で株価を指数化した先物商品です。

※1 時価総額加重型
株価指数の算出方法の一つです。
算出方法は、構成銘柄の時価総額の合計 ÷ ある一定時点の時価総額=株価指数
ある一定時点と比較して、時価総額がどの程度上がったのか下がったのかを知ることができます。

日経225

現在、金融先物商品の中で最も取引が行われている商品が日経225です。
日経225は日経平均株価が将来上がるか下がるかを予測するので、一般投資家にとっても身近な商品といえます。
そこで、この項では日経225について詳しく解説します。

◇取引時間
日中は9:00~15:15、夜間取引は16:30~3:00

◇取引単位
日経225には「ラージ」、「ミニ」と呼ばれるものがあります。この2つの違いは、最低取引単位と値動きの単位の違いです。
ラージは1000株単位、ミニは100株単位です。また、値動きの単位はラージが10円刻み、ミニは5円刻みですので、初心者の方が日経225を始めるのであれば、まずはミニから始めることをおすすめします。

日経225は「ラージ」、「ミニ」も取引の仕組みは一緒です。

1. 新規注文
インターネットなどで新規の売買注文を行います。限月、売買の種別などを選択します。

2. 建玉(たてぎょく)の確認
注文が完了しましたら、建玉の動向をチェックしていきます。
建玉とはまだ決済していない取引のことです。

3. 決済
建玉を清算することで損益を確定させます。

また、日経225の主なメリットとデメリットを紹介します。

◇メリット

・資金効率の良さ
証券会社によって多少の違いはありますが、10倍以上のレバレッジをきかせることが可能です。正しい資金管理、リスク管理が出来ていれば、資金効率の良さは大きなメリットとなります。

・下落相場でも利益を出すことができる
売り建てが可能なため、下落相場でも利益を狙えることはメリットの1つと言えます。

・証拠金だけで取引が可能
例えば株式投資の場合、ある銘柄の株式を100万円分買い注文出すとき、投資資金が最低100万円なければいけません。
ですが日経225ミニの場合、100万円分の売買を行うのに、5~6万円ほどの証拠金を預けることで取引が可能です。

◇デメリット

・取引期限がある
日経225では3月、6月、9月、12月に取引の期限があり、ミニの場合は毎月取引の期限があります。SQ(満期日)になると、利益であっても損失であっても、決済していない建玉はその時点の価格で決済されます。

・レバレッジによるリスク
レバレッジをきかせられることで、資金効率の良さというメリットがある一方、自分の投資資金に見合わないレバレッジをきかせると、大きなリスクとなります。
レバレッジは使い方によってメリットにもデメリットにもなるので、レバレッジを利用するかは慎重に判断しましょう。

先物取引のリスクとリスク管理

先物取引は、「リスクの高い取引」であると言われます。
実際に先物取引特有のリスクは存在します。
そこで、先物取引を行う上で特に注意しなければならないリスクの種類と、投資初心者のためのリスク管理について紹介していきます。

先物取引の主なリスク

・レバレッジによるリスク
先物取引がリスクの高い取引と言われる最大の理由が、このレバレッジにあります。
先物取引では、資金が少額だとしてもレバレッジをきかせることで、投資資金の何倍もの金額で取引が可能です。
例えば、投資資金が50万円あり、レバレッジが10倍だとすると、実際の取引では500万円分の商品を取引できます。もし、500万円分の買い注文を出したとして、結果的に10%価格が下がってしまったとすると、500万円×(-10%)=-50万円 となります。
つまり、50万円の損失となり、投資資金が0円になってしまいます。
レバレッジは上手に使わなければ大きなリスクとなるので、注意が必要です。

・追証によるリスク
先物取引は証拠金が必要となり、もしも含み損が証拠金として必要な金額を下回った時に追証を支払うか決済しなければなりません。
追証の支払いをどうするかの判断が、先物取引では重要な要素の一つです。負けが続いて追証を支払い続けると、損失額は想像以上に膨れ上がることになるので注意が必要です。

リスク管理を徹底する

投資で成功するためには、リスク管理は重要です。
ここでは、投資初心者にこれだけは守っていただきたいリスク管理の方法について解説します。

・自分の投資資金を明確にする
投資資金は、自分自身の資産の中で生活費や将来必ず必要な資金を除いた余剰資金を使いましょう。投資による損失で破産することが無いように、投資資金額を明確にしておきましょう。

・損切りラインを設定する
損切りの判断は、投資家にとって難しい判断の一つです。勝てる投資家になるためには、損切りが上手にできるかが重要です。
取引を行う前に、自分自身で損切りラインを設定し、そのラインを必ず守ってトレードする強い意志が必要となります。
(→「損切り」に対する考え方の記事を読む

まとめ

先物取引は、株式投資ともFXとも違う特徴があります。
これから先物取引を始めようと考えている方には、先物取引はどのような仕組みで行うものなのか、どんなリスクが存在するのかなど、先物取引の特性をきちんと理解してから実践していきましょう。

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どれも10分ほどで学べる内容になりますので、通勤時間や寝る前のちょっとした時間にご覧ください。

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