FXは株式投資とは違い、24時間取引をすることが可能なため、普段はお昼に仕事をしているサラリーマンや、平日には時間が取れない人にはもってこいの投資手段です。また、投資の資金も10万円もあれば十分に取引できるなど、少額から始めたい人にも始めやすい環境となっています。
しかし、FXは一般的に「危険」や「怖い」といった印象が強く、現に何千万と損をしている人も少なくありません。そのため、気になるけど手を付けられないといった人も多くいます。しかし、いったいなぜFXに「危険」なイメージがついているのかというと、それには「FXをやる上でのリスク」を理解していない人が大勢いるからです。
この記事では、投資経験者でも意外と理解していないFXで起こるリスクパターンについて詳しく解説していきます。
このリスクをしっかりと理解することで、取引の仕方にも大きな違いが出てくるので、これからFXを始める人も、すでに始めているが損をしてばかりな人も、この記事を読んで少しでもリスクを減らした取引が出来るようになりましょう。
FXのリスクを知る
たいていの人は、FXを始めるとなったときに、まず取引の仕方や方法などを知ろうとしがちです。しかし、なにより大切なことは、FXで起こるリスクを理解しておくことです。なぜならば、「私は運がいいから大丈夫」ということは絶対にありえません。投資には必ずリスクがあります。
そんな状況で、FXをすることによっておこるリスクを理解していないと、リスクの回避が全く出来ず、利益を出す前に大損をしてしまう可能性があるのです。
まず、皆さんが業者と取引をすると、必ず契約書面に「為替変動リスク、信用リスク、取引リスク」などといったことが書いてあります。これはインターネット上でも同様です。
ただ、こういったリスクについての説明等は契約書面の一番最後の方に目立たないように申し訳なさそうに書いてあることが多いのですが、実際はこういったところが一番大事です。すべて、皆さんが長くトレードをしていたら関わってくる話のため、自分には関係のない話だと思わずに、しっかりと理解して対策を打たなくてはいけないわけです。
主に、FXで発生するリスクは下記となります。
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・価格変動リスク・金利変動リスク
・信用リスク
・取引リスク
・流動性リスク
・レバレッジリスク
・その他
為替変動リスク・金利変動リスク
▽為替変動リスク
まず、為替変動リスクについては日々レートが変わるため、これは投資をやる上では必ずあるリスクです。
例えば、
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ある銘柄を10万で買いました。
その後にレートが変わり、その銘柄が12万円になったのでそこで売ります。
12万円-10万円=2万円の利益
となるわけです。これは逆のパターンもあって、12万で買った株がレートが変わって10万円になったら、2万円の損が出ていることになります。
このようにレートが変わることによって儲かったり損したりします。このリスクを知らないひとはいないでしょう。
▽金利変動リスク
次に金利変動リスクとは、FXにはスワップ金利というものがあります。スワップ金利はかなり難しいので、これについてはあとで解説をしますが、スワップ金利とは、取引を行った際の通貨間の金利で、低金利の通貨から高金利の通貨を買った場合、この際に発生する金利差のことを言い、これの金利差額を受け取ることが出来ます。
ただ、金利が変動して低金利だったものが高金利となった場合は、「払い」になってしまいます。この「払い」になるといままで受け取っていた金利を支払うことになってしまうため、金利が変動する事でも、それによるリスクは起こるのです。
この為替変動リスク・金利変動リスクに関しては売買のための「リスク管理」をしっかりやることが一番の対策となります。(→リスク管理の記事を読む)
信用リスク
▽取引業者の破綻
日本の支店がないような、いわゆる金融庁の管轄になっていない海外の業者と取引きをすることはお勧めできません。もし何か問題が起きても、気付いた時には逃げられているかもしれないし海外までは行って直談判なんていうのも難しいです。また、海外の業者はレバレッジ規制がないところも多いので、とても危ないです。レバレッジについても後で詳しく説明をします。
▽取引業者のカバー先の破綻
カバー先というのは各業者がレートを出してもらうために、取引をしている銀行ないし銀行にあたいするような機関のことです。
業者はレートをこのカバー先にもらっているのですが、そのカバー先が破たんすることによって、レートが出てこないため、取引が出来なくなってしまうというようなリスクがあります。
取引リスク
▽業者のシステムトラブル、自分のパソコンのトラブル、災害等での電波障害
一流の会社であっても、システムトラブル、サーバーがダウンする等などは避けられません。あってはいけないことですが、どんな大きな会社でも起こってしまいます。
他にも、自分のパソコンがトラブルで動かなくなってしまうことや、災害時の電波障害の影響を受けるなど、すべて一時取引が出来なくなることによって、その時に大きなレートの動きがあった場合は、どうする事も出来なくなってしまうために発生するリスクです。
そのため、このようなリスクには、複数の会社と取引し、自分のパソコンも複数のパソコンを用意するということを視野に入れなくてはなりません。
とても少ない額でとりあえず体験のつもりで取引をしてみるというレベルであれば、そこまで真剣に考えることではありませんが、ある程度の取引量になってきた場合は大損をする可能性も出てくるため、これは考えておかなくてはいけないリスク回避法となります。
▽パスワードの流出
最近では、自分のパスワードが盗まれて、勝手に取引をされてしまう等のケースもあるので、そのリスクもあります。
定期的にパスワードを変更するなどして、対策をしましょう。
流動性リスク
流動性が少ない、つまり取引量の少ない通貨ペア(たとえば新興国やあまり聞いたことがないとうなもの)を使うということで、このリスクが起きやすくなります。
▽注文が出来ない決済できない
取引の量が少ないために、みんなが買うとするすると値段が上がる、売るとするすると値段が下がる、といった状況をスリップページといいます。この状況がいきすぎてしまうと、注文が出来ない、決済が出来ない、といったことが起こります。
▽スプレッドが広がる、不利な価格で取引せざるを得なくなる
売値と買値の差をスプレッドといい、実質の手数料と考えます。このスプレッドが大きく広がってしまうと、その分支払うべき手数料が高くなるので、不利な価格で取引せざるを得なくなってしまいます。
新興国の通貨などの取引量の少ない通貨ペアを取引しているときや、あるいは価格変動がものすごく激しくなっているとき、とんでもない事件が起こった時などはこのスプレッドが突然大きく広がってしまうことがあります。
たとえば、2015年1月におこったスイスフランショックでスイスフランの大暴騰が起きましたが、そのことによってスプレッドが大きく広がり、自分の決済したいと思う注文で決済が出来ないということが起こり、大損した人はたくさんいます。こういったことを流動性リスクのひとつとして頭に置いておかなければなりません。
このようなことから、流動性が少ないあまり聞いたことがないような新興国の通貨ペアを取引するっていうことはリスクがあります。リスクを回避するためには、ある程度の取引量があるものを選ばなければなりません。
レバレッジリスク
レバレッジとは、取引会社に自分のお金を証拠金として預け入れることで、証拠金の何倍もの金額で取引が出来ることをいいます。為替では、証拠金を最大25倍までレバレッジをきかせることができるため、少ない資金でも大きな金額での取引が可能となります。
例えば
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投資用資金:10万円
レバレッジ:25倍
とした場合、250万円での取引が可能となるわけです。ただ、このレバレッジでのリスクは、証拠金以上の損が出ることがあるという点です。
もし仮に、投資用資金が10万円でレバレッジ25倍をきかせためいっぱいの取引をしているとしたら、4%逆方向に言った瞬間に投資用資金はすべてなくなります。また、それ以上動いたら足(証拠金以上のマイナスのこと)になります。
例えば
投資用資金:10万円
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ドル円:(仮)120円
レバレッジ:最大の25倍きかせる
⇒投資用資金:250万円
この250万円すべてを使って120円ドルを買ったとします。
ここから、たった4%逆方方向に動いたら利益はなくなります。
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250万円×4%=10万円
250万円-10万円=240万円
つまり、証拠金がレバレッジを聞かせた状態で240万円になってしまったら、もう資金は無くなったことになってしまいます。25倍のレバレッジでやっているということは、4%損すると全部なくなってしまいます。4%の25倍で100%ですよね。
もっと具体的に言うと4%動いたら120円×0.4=4.8円。
わずか4.8円動いただけで、120円のものが115円に円高になったらその瞬間に証拠金はすべてぱあになって、マイナスになってしまいます。
しかし、FXには「自動ロスカット制度」(※1)というものがあり、各業者が「この人は証拠金が少なってきたから、これ以上取引しちゃだめだよ」、というふうに強制的にロスカットがされるようになっています。強制的にロスカットはされるため、証拠金がマイナスになることは基本的にはない仕組みです。
ただ、大きく価格が動いた時には自動ロスカットはされないというリスクがあります。
さきほどもいった2015年1月に起こったスイスフランショックですが、この時、ものすごい勢いでスイスフランが動きました。その時にロスカットを入れていても、あっというまにそこの価格を通り過ぎてしまい、実際に決済をしたら証拠金以上のマイナスが出たということがしばしばありました。
こういったことは、突然起こるため、自分には関係ないと思ってはだめです。
ただし、レバレッジを必ずしも25倍にして取引をしなくてはいけないということではありません。あくまで最大25倍まで出来るというはなしなので、もっと低いレバレッジでやれば大きな心配はいりません。
しかし、レバレッジに比例して、リスクが大きくなるため、何%動いたら決済しなくてはいけないなど、事前に自分で決めておくことが証拠金を大きく失うことにならないリスク回避法となるでしょう。
自動ロスカットとは、証拠金の20〜30%になると、保有している通貨ペアの一部やすべてを決済してしまう制度のことです。ロスカットを執行するパーセンテージについては各業者によって異なりますが、ロスカットは強制的に行われるものや、警告をメールなどで送る会社などがあります。
その他
▽地政学的リスク
どこかで戦争が起こる
▽カントリーリスク
その国が経済的に破たんしてしまう等
▽ロスカットのリスク
自分は証拠金が足りていると思って置いておいたにも関わらず、翌日値段が暴騰して、「儲かったかな」と思ったら、その前日に業者が「あなたの証拠金が足りなくなっていたので強制ロスカットしました」といったことが後から分かったりします。
このように、残っていたら利益だったのに…といった場合などがあります。
▽スリップページのリスク
自分はこの値段で買った、この値段で売った、といったように、あるところで注文を出したにもかかわらず、成立している値段はそれよりもはるかに条件の悪いところで成立してしまったことをスリップページと言います。
こういったことも、流動性の少ない新興国の通貨や、価格変動が大きいときなどに起こりやすいリスクとなります。
レバレッジは何倍?
レバレッジについては前項でお伝えしましたが、このレバレッジを、具体的に何倍にして取引すればいいのかを気にするひとは多くいます。
ただ、レバレッジは何倍でやったほうがいいという決まりはありません。なぜかというと、値動きが激しい通貨ペアと値動きが少ししかない通貨ペアがあるためです。
たとえば、通貨ペアが違います。Aという通貨ペアと、Bという通貨ペアがあります。同じく250万の取引をしています。同じ250万の取引でも、AとBではリスクが同じではありません。
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Aの通貨ペアではレバレッジ25倍:値動きが少ない
Bの通貨ペアではレバレッジ20倍:値動きが大きい
⇒Bの通貨ペアの場合、レバレッジ20倍であっても、
値動きが少ないAの通貨ペアのレバレッジ25倍よりリスクが大きい
あくまで、自分が取っていい適切な資金量というのを決めて、取引量を決めていきます。レバレッジ何倍というのはその銘柄の値動きを自分がしっかりと把握して、その値動きを元に自分に合う取引量が決まったら、あとで結果としてレバレッジ何倍というのが出てきます。
レバレッジを決めるためにも、自分に合う取引量などを決める必要があるとお伝えしましたが、これにはリスク管理を知っておかなければなりません。(→リスク管理の記事を読む)
OTC取引(相対売買)
FXはOTCです。OTC(オーバー・ザ・カウンター)とは、簡単にいうとカウンター越しに業者がいて、買いますか?売りますか?といった取引をすることを意味します。OTCは「相対取引」と日本語では訳されています。この「相対取引」であるというところが、FXと株取引の決定的な違いでもあります。
現在、日本では業者は金融庁の非常に厳しい管理下にありまして、きわめて安全な取引をしています。そのため、皆さんは日本のFX業者は安心し利用して大丈夫です。しかし、FXは「取引所取引(※2)」じゃないというところだけはしっかり覚えておきましょう。
取引所取引とは証券取引所で行われる取引のことをいいます。市場の売買取引から、より公正な株価が決められています。
▽レート
「取引所取引」じゃないということは、最終的にレートは市場の状況ではなく、業者が決めるということを意味します。もちろん、国際的な為替のレートがあるので、それを元にレートを出してくれるカバー先というものを業者はもっています。カバー先が提供してくれるレートの中から各業者は、売り手にとっても買い手にとっても一番有利な価格を選んで提供しています。そのため、取引所取引とは違い、業者ごとにレートが異なってきます。
たとえば、同じ時間にドル円をやっても、Aという業者とBという業者とCという業者では、レートが違います。
これが株だと、仮に「午前10時」の「楽天」といったら、どこの業者で買っても値段は同じです。ところが、為替の場合は業者によって価格が違うのです。しかし、これは違法でもインチキでもなんでもありません。
その他にも業者によって条件が異なるものはいくつかあります。
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■業者毎に違うもの
・スレッド(実質の手数料)
・スワップ・スリップページ等
・ロスカットのルール等
そのため、業者選びは非常に重要となるのですが、まずは大前提として金融庁に登録していないようなFX会社は危ないのでやめておいたほうがいいということを覚えておきましょう(特に外国の会社に多いです)。
スワップ金利とは?
スワップポイントとは、2つの通貨の金利差のことをいいます。国によって、通貨にはそれぞれ金利が定められています。たとえば日本なら、金利は年0.1%です(2016年2月現在)。1年間保有すると0.1%の利子がつくことになります。
ところが、現在の日本の金利は世界的に見ると、超低金利です。しかし、豪ドルは2.0%、NZは2.5%、南アフリカランドは6.75%という日本に比べるとかなりの高金利です。下の図は政策金利一覧です。
※外為どっとコムのHPより
このような2通貨の金利差をスワップポイントといって、FXでは、低金利の通貨を売り、高金利の通貨を買うと、維持した金額と日数分のスワップポイントを受け取ることができます。
たとえば、豪ドルで考えると、日本円との金利差は1.9%です。1万ドルの買いポジション(100万円で1万ドルを買った)を1年間持ち続けているとすると、19,000円の金利差を受け取れるわけです。
さらには1年間を満了しなくとも、このスワップポイントは毎日受け取ることが出来ます。
たとえば、豪ドルで考えると、日本円との金利差は1.9%です。1万ユーロの買いポジション(100万円で1万ドルを買った)を1日保有した場合は下記のようになります。
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1.9%×100万円
=1年あたり19.000円
=1日当たり約19円
こういうことですが、スワップ金利にはレバレッジがきかせられるので、一日19円でもかなりの利益になります。そのため、このスワップ金利を狙って売買をするという人がたくさんいます。
※みんなの外為」より、1万通貨あたり(南アランドは10万通貨)
※2016年3月8日時点のデータ
ただ、スワップ金利狙いの売買というのは、あまりお勧めは出来ません。なぜならば、今のような日本が低金利である状況ならば短期的にうまくいきますが、長期的には金利の変動があるため、なかなかうまくいきません。ですから、スワップ金利狙いのトレードをしたいと思うのであれば、それは時期を選ばなくてはいけません。
また、低金利の通貨を売って、高金利の通貨を買えば、その金利差を受け取ることができるわけですが、逆に高金利の通貨を売って低金利の通貨を買い、持ち続けていると、今度はスワップポイントを受け取るのではなく、毎日支払わなくてはなりません。
スワップ金利で利益を得たいのであれば、このような点をしっかりと頭に入れておきましょう。
まとめ
FXで起こりうるリスクを理解しているとしていないとでは、取引の方法や、資金の使い方などにも違いがでてきます。ただ、この記事を読んでリスクを把握することはFXで危険なく利益を得るための第一歩にすぎません。リスクを把握したうえで、次のステップである「リスク管理」へ進みましょう。(→リスク管理の記事を読む)
投資の英知を手に入れたい方へ
僕が運営している投資の学校とは、2008年に「世界水準の投資教育と最高の学びを提供する」というビジョンの元、
大学受験の予備校のようなスタイルで一流の投資家から直接、彼らの実践方法を学べる学校として創業しました。
結果として2021年現在では累計13万人以上の方に講座を体験していただき、
大変多くの勝ち組投資家が誕生しています。
ここに、日本トップクラス…
いえ、世界でも有数の「投資の教養」があることは
手前味噌ながら自信があります。
僕自身も、これまで投資の学校を運営してきた中で、一流の投資家から大変多くの教養を学びました。
そこで投資の学校代表として一番間近で一流の投資家の先生方から学んだ投資の教養を、1人でも多くの個人投資家に届けるためYoutubeで動画を投稿しています。
例えば下記のような動画をご覧いただけます。
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どれも10分ほどで学べる内容になりますので、通勤時間や寝る前のちょっとした時間にご覧ください。