「サイコロジカル」とは、心理的という意味で使われる言葉です。この言葉の意味から、人間の心理的な面に着目して売買のタイミングを読み取るためのテクニカル指標として「サイコロジカルライン」という名前がついています。
人間の心理に着目したテクニカル指標といっても、仕組みはシンプルです。株価の変動では、株価が何日も続いて上昇すると、「そろそろ上昇が止まるのではないか」と考える人が増えてきて、実際に上昇が止まることが多くなります。逆に、株価の下落が何日も続いた後は、「そろそろ上がるのでは」と考える人が多くなり下落が止まることが多くなります。
このように、株価が何日も上昇(または下落)を続けることはあまりありません。そこで、ある期間のうち、株価が上昇した(または下落した)日数の割合を求めて、そこから売買タイミングを判断するという方法としてサイコロジカルラインが考えられました。
簡単に言えば、相場にいる投資家たちの心理的な飽きや疲れなどから相場の過熱度を見て、「買われすぎだから売る」や「売られすぎだから買う」といった売買のタイミングを教えてくれる分析方法です。
ただ、このサイコロジカルラインだけでは、明確な売買タイミングを見極めることが難しいため、サイコロジカルラインのみで売買をしているひとはあまりいません。しかし、今現在の相場は買いの勢いがあるのか、それとも売りの勢いがあるのか、買われすぎなのか売られすぎなのか、といった相場の大まかな流れを把握するためにはかなり便利なテクニカル指標です。
さらに、細かい価格の変動を見ることが出来るトレンド系指標(移動平均線など)と一緒に使用すれば、価格の一時的な上下や、トレンドの発生時などをも明確にとらえることが出来きます。そのため、トレンド系の指標を使ってトレンドを掴みつつ、そろそろ買われすぎなのか売られすぎなのかを判断する補完的なテクニカル指標として使用している人が多いです。
サイコロジカルラインの計算方法
まず、サイコロジカルラインは、以下のように計算します。

例として下記の図を見てください。
サイコロジカルラインでは12日間の期間で見ることが一般的となっています。
そのため、例題では過去12日中で見た計算式となっています。
例:12日中、9日株価が上昇した場合

この12日間を見ると75%の割合で株価が上昇していることをサイコロジカルラインが表しています。
このように、ある期間の前日比の上昇と下落がどのくらいの割合か見ることによって、その期間の価格の動向を客観的に見ることが出来ます。なお、サイコロジカルラインでは、上昇した日を「勝」、下落した日を「敗」と数えます。たとえば、9日上昇で3日下落なら、「9勝3敗」と数えます。また、株価が変化しなかった場合は、1敗として数える方法もあれば、0.5勝0.5敗と数える方法もあります。
なぜ12日間なのか
サイコロジカルラインでは、計算で導き出すための期間を12日で考えることが一般的です。この12日という数字は、過去の株価の勝敗から導き出されているものです。
■過去の株価(日経平均株価)の最高連勝・連敗記録
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▼連勝
1960年12月21日~1961年1月11までの14連勝
▼連敗
1954年4月28日~1954年5月18日までの15連敗
この14連勝や15連敗は、過去に一度しかありませんが、12連勝や10連勝などはあります。そこで、これらの過去の連勝・連敗記録を平均的に計算してサイコロジカルラインの計算に用いる日数を12日と決めました。
■日足
8日、12日(ポピュラー)、22日
■週足
8週、13週
サイコロジカルラインの見方
計算対象期間を12日にした場合、そのうちの10日以上株価が上昇することは、ほとんどありません。
そんな中で株価が12日のうち10日上昇すれば(10勝2敗)、サイコロジカルラインの値は83.3%になります。これはかなりの割合で株価が上昇しているため、もう相場では「買われすぎ」と見て、それ以上上昇が続く可能性は低く、売りのタイミングだと判断することになります。
その一方で、12日間で2日以下しか株価が上がらないことも、ほとんどありません。そんな中で2勝10敗だとサイコロジカルラインの値は16.7%になり、これはかなりの割合で株価が下落しているため、そろそろ「売られすぎ」と見て、それ以上下落が続く可能性は低く、買いのタイミングと判断します。
もっとも、10勝2敗や2勝10敗はめったにありませんので、銘柄によっては、9勝3敗や3勝9敗まで範囲を広げて判断してもいいでしょう。
・12日間で9日の上昇・・・買われすぎでそろそろ下落しだす傾向あり
サイコロジカルラインの値で表すと75%以上
・12日間で9日の下落・・・売られすぎでそろそろ上昇しだす傾向あり
サイコロジカルラインの値で表すと25%以下
さらには、12日間に10日以上の上昇や下落があることはほとんどないので、このような状態になった場合は、確実に「買われすぎ、売られすぎ」と判断します。
サイコロジカルラインを使った売買タイミングの判断例
下の図はセブン&アイ・ホールディングス(3382)の2012年6月~2013年3月の日足チャートに、サイコロジカルラインを入れた例です。

図中の「買い①」~「買い③」の部分は、サイコロジカルラインが25%まで下がったところです(12日中3勝)。買い①と②は目先の底に近い位置で、いいタイミングだったことが分かります。しかし、買い②ではその後に株価が下落していて、ダマシになっています。
一方、「売り①」~「売り④」の部分はサイコロジカルラインが75%まで上がったところです(12日9勝)。売り②と売り③はほぼ岬の天井付近で出ていますので、まずまずの成功と言えるかもしれません。また、売り①と売り④は、いずれも買いの位置から見れば株価が上がっています。ただ、その後に株価上昇が続いていて、利益を取り損ねています。特に、売り④の後は株価上昇が大きく、その分利益の取り損ねも大きかったと言えます。
ダマシが多いことに注意
サイコロジカルラインを使って売買をする際には注意すべき点があります。前項のチャートでも出てきましたが、ダマシが多い傾向があります。他のオシレータ―系指標は、株価の天井や底に近い位置で反転することがよくありますが、サイコロジカルラインでは必ずしもそうではなく、価格変動の動きと連動していないところが多く見られるため、特に日足ではダマシが多くなります。
また、
・前日の終値よりも高くなれば勝ち
・前日の終値よりも安くなれば負け
という見方をするため、仮に値幅が前日に5pipsでも10pipsでも上がれば、1勝と判断します。そのため、たとえサイコロジカルラインが75%を示していたとしても、実際の値動きはそれほどなかったという場合もあります。サイコロジカルラインは値動きが上昇したり下落したりと不安定な時には有効ですが、強いトレンドが発生し一定方向へ傾き続けた場合には使えません。JASTAQの銘柄のように、売買が一方通行に動きやすい銘柄の場合、12勝0敗や0勝12敗のようなことも起こります。
やはりトレンド系の指標と併用することでさらに信頼性が上が
まとめ
サイコロジカルラインでは、価格変動の大まかな流れを見ることは出来ても、価格変動と連動していない部分が多くみられるため、ストキャスティクスやRSIのように明確な売買ポイントを見つけることは難しいです。そのため、サイコロジカルラインのみを使用するのではなく、トレンド系の指標と併用してさらに信頼性を高めて使いましょう。
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