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テクニカル分析とは、取引でより利益を出しやすくするために、「過去の値動きパターンから将来の値動きを予想する」分析方法です。株やFXをやる人であれば、必ず活用するときがやってきます。しかし、テクニカル指標にはたくさんの種類があり、すべて覚えて使いこなすことなんて到底無理だと思っている方もいるかもしれませんね。
もちろん、投資初心者がすべてのテクニカル指標を使いこなすことは難しいですが、基本的な指標だけでも活用ができれば、取引が格段にしやすくなります。この記事では、テクニカル分析の中でも代表的な7つの指標について使用方法や使用時のポイントについて解説していきます。
テクニカル分析の基礎
テクニカル分析で出来るようになることは、使用するテクニカル指標によっていろいろありますが、基本的に大きく分けるとたった2つです。
1.相場の方向性が分かる
2.売買のタイミングを計れる
相場の方向性が分かる
まず、価格が今後も上がるのか下がるのか、相場の方向性が分かれば、取引も楽に進めることができます。上昇トレンド(※1)があると思えば買い、下降トレンドがあると思えば売る、トレンドの流れに乗って利益を上げるタイプの取引を行うことを「順張り」と言います。
一般的に、順張りは価格が上昇したことを確認してから買うことになるので、その分出遅れてしまいますが、トレンドを押さえておけば利益を出せる確率が高くなるため、初心者に向いているとも言われています。そして、このトレンドを探し出してくれるのが、テクニカル分析なのです。
相場の方向性を探し出してくれる指標は大まかに分けるとトレンド系指標に分類され、主に下記が代表的な指標です。
■トレンド系指標
移動平均線、一目均衡表、ボリンジャーバンド
相場が上昇しているか下降しているかの方向性や傾向を指し示すものです。
大まかに分けて「上昇トレンド」「下降トレンド」「横ばい」があります。
■上昇トレンド
一定の時間で見たときに、チャートから上昇の傾向が見えたら、それは上昇トレンドです。細かく見ると上下はしていますが、全体的に見て上昇していれば上昇トレンドとなります。上昇トレンドの時は買い時です。
■下降トレンド
一定の時間で見たときに、チャートから下降の傾向が見えたら、それは下降トレンドです。細かく見ると上下はしていますが、全体的に見て下降していれば下降トレンドとなります。下降トレンドの時は売り時です。
■横ばいトレンド
上下をしながらも、チャートで見た時に上昇もしておらず下降もしていない横ばいの状態のことを、横ばいトレンドと言います。横ばいトレンドが泡られたときは、売買注意のシグナルだと思いましょう。このトレンドが出ているときはその後に相場が大きく動く可能性があるからです。
売買のタイミングを計れる
上項で解説した「順張り」では、価格が上昇した、または下降したことを確認してから売買をするので、その分遅れが出てしまいます。どのタイミングで買う、または売るのが良いのかという最適なタイミングがつかめないのがデメリットです。
しかし、この「順張り」とは真逆の考え方をする「逆張り」という手法ならば、売買のタイミングは比較的決めやすいです。なぜならば、価格が下降しすぎていてこれ以上下がらないと予想する時に買い、価格が上昇しすぎていてこれ以上上がらないと予想するところで売るという投資方法なので、完璧に上がるまで買うのを待ったり下がるまで売るのを待ったりすることがない分、売買タイミングは比較的決めやすいと言えるでしょう。
ただ、「逆張り」の手法は、予想が当たれば利益が大きく出るものの、価格の「底」を見極めることは難しく、初心者には不向きとも言われています。そこで、この価格の上がりすぎ、下がりすぎを探し出してくれるのがテクニカル分析なのです。
売買のタイミングを探し出してくれる指標は大まかに分けるとオシレータ―系指標に分類され、主に下記が代表的な指標です。
■オシレーター系指標
RSI、MACD、ストキャスティクス
一番メジャーな【移動平均線】
株やFXをやっている人なら、まず知らない人はいないであろうテクニカル指標です。チャートの王様と言われるほどメジャーなテクニカル指標ですが、とても奥が深いため、しっかりと使い方を覚えておく方が良いでしょう。
移動平均線とは、「過去の一定期間の終値の平均値を線で結んだもの」です。今の価格と平均線を比較して、将来の値動きを予測します。ローソク足だけでチャートを見るより、価格の推移が線によってなだらかに見えるので、一目でトレンドが分かりやすいのが移動平均線を使ううえでのメリットです。
下記がイメージです。
↓※ローソク足のみ
↓※ローソク足+移動平均線(赤い線)
使用時のポイント
このテクニカル指標で重要なのは、日数の設定期間をいくつに設定するかです。基本的には自分の取引のスタイルに合わせて、日数設定をします。長期のトレンドで見る場合は長い期間の移動平均線を使い、短期のトレンドで見る場合は短い期間の移動平均線を使うことが基本となります。
長期トレンドで見る場合は、200以上で設定し、短期トレンドは、スキャルピング(※2)の場合は5~15程度、デイトレード以上の場合は10~30程度の間で使います。このように検証しつつ、自分の手法に合った使いやすい数値を探しましょう。一度自分の手法に合った数値を見つけても、相場の流れが大きく変わったときは、再度検証をし直すことが必要となる場合もあります。
また、日足をよく見る場合は、とりあえず20に設定した移動平均線を表示する人も多くいます。日足を見て、約一か月分(一か月は約20日営業日)の移動平均線を表示しておくと、相場のおおよその雰囲気が分かります。
取引をする前に移動平均線を表示した日足チャートを見ることで、相場の大きな方向性や雰囲気を掴み、その日の戦略を考えていくと、失敗する可能性を押さえることができます。
数秒から最大数十分という短いスパンの間に、何度も売買を繰り返し、小さな利益を積み重ねるデイトレードの手法です。
移動平均線でよく使われる時間軸
【日足】5日、25日、50日、75日、100日、150日、200日
【週足】9週、13週、26週
【月足】12か月、24か月、36か月
移動平均線についての、さらに詳しい解説は下記リンクより読むことが出来ます。
《FXや株式投資のみに関わらず移動平均線を制するものがチャートを制する!移動平均線を徹底解説》
雲が最重要とされる【一目均衡表】
一目均衡表は、継続的に利益を得ている成功者の間でも人気のテクニカル指標です。ただし、ここでの注意点は使われているのは雲のみだという点です。雲の良いところは、見ため的にわかりやすいということにつきます。
下記がイメージです。
↓※雲はグレーの部分
このテクニカル指標は、価格が雲を突き抜けることでトレンドが転換したと判断できる点が人気の理由の一つです。一目均衡表自体を完全にマスターするのは難しいですが、わかりやすい売買サインも多く、雲だけを使っている人は多いです。
雲は、薄いときはトレンドが転換しやすく、逆に雲が厚くなっている状態のときは、あまり気にしないというような見方をします。また、強いトレンドの発生を見つけ出すよりも、トレンド転換を見極められるところこそが雲の利点です。
また、雲を使う場合は、他のテクニカルと組み合わせると効果的です。特に雲が苦手とするトレンドの強さを見る、移動平均線やボリンジャーバンドなどとの相性が良いです。
・ローソク足が雲を下から上に抜けると買い
・ローソク足が雲を上から下に抜けると売り
・基準線に対し転換線が下から上に抜けると買い
・基準線に対し転換線が上から下に抜けると売り
・遅行スパンがローソク足を下から上に抜けると買い
・遅行スパンがローソク足を上から下に抜けると売り
一目均衡表についての、さらに詳しい解説は下記リンクより読むことが出来ます。
《一目均衡表の見方【入門編】|初めてでも分かる!儲けポイントが一目瞭然》
さまざまな場面で役立つ【ボリンジャーバンド】
エントリーや決済のポイントや売買タイミングの判断などに使える万能型のテクニカル指標です。なんといってもそのわかりやすさが利点です。
ボリンジャーバンドは、中心線と、±1σ、±2σ、±3σによって表されます。中心線は、言葉通りに一番中央にある線を表します。そして、中心から外側に向けて±1σ、±2σ、±3σとなります。上が+σで下が-σです。
下記がイメージです。
↓※(移動平均線が青、±2σがピンク)
よく使われる判断基準は±2σを抵抗線・支持線として見るというものです。±2σは強力な抵抗線や支持線として機能するため、売買タイミングを計るのにとても適しています。
・バンドの±1σの範囲内に収まる.3確率・・・約68%
・バンドの±2σの範囲内に収まる.4確率・・・約95%
・バンドの±3σの範囲内に収まる.7確率・・・約99%
チャートを見てもわかるように、±3σの外にローソク足が出ることはほとんどありません。そのため、全体の95%が±2σの範囲内に収まります。ローソク足の実体が±3σを出ることはまずありませんが、一瞬タッチしてヒゲが±3σの外に出る場合もあるので、中止して見ましょう。
■エントリーや決済のポイント
±2σのラインにローソク足が達した時。
■売買ポイント
ローソク足の実体が±2σを出たり、±3σのラインにローソク足がタッチした時
ボリンジャーバンドの機能をいろいろ知りたいのであれば、米ドル/日本円の日足に表示することをオススメします。日足はテクニカル指標に対して素直に動きやすいので、ボリンジャーバンドがどういったものか確認するためにはちょうどいいでしょう。
■抵抗線
過去の高値などを基準に引かれた線です。「上値抵抗線」ともいわれ、ここより上には行かせないと「抵抗」する線を意味します。
■支持線
抵抗線の反対が「支持線」(または下値支持線)です。こちらは抵抗線とは反対に、これより下には行かせないと支えてくれる線を意味します。
エントリーの意味づけとして利用する【RSI】
オシレータ―系指標の代表格であるRSIは、買われすぎや売られすぎと判断するためのテクニカル指標です。この指標は、一定期間の中で、上昇(または下降)した値幅がどれくらいあるかをパーセンテージで算出したものです。
一定期間の値上がりや値下がりですので、算出する期間によって値が変わります。通常よく使われているのが「14日間」で、MT4の初期設定は14となっています。
RSI=値上がり幅÷(値上がり幅の合計+値下がり幅の合計)×100
例
ドル円の14日間の値上がり幅が3円で、値下がり幅が1円の場合
「3÷(3+1)×100=75%」になります。
基本的には、
■70~80%以上…買われすぎ
買いポジションを決済したり、売りエントリーするタイミング
■30~20%以下…売られすぎ(買いサイン)
売りポジションを決済したり、買いエントリーするタイミング
であると判断します。
RSIの数値が高いほど買われすぎ、低いほど売られすぎを表していて、70%以上になると買われすぎのためその後下降する可能性が高く、逆に30%以下になると売られすぎでその後上昇する可能性が高くなるためです。
しかし、RSIをはじめとするオシレータ―系指標は、強力なトレンドが発生しているときにチャート上では70%以上や30%以下の状態で張り付き、機能しなくなるという欠点があります。上手く使うためには、売買のタイミングを計ったり、トレンド系テクニカル指標のサインの信頼性を見るために使うのが有効です。
たとえば、長期取引をする場合は、売買タイミングを計るためにも使えます。4時間や日足で売買のサインがでたときに15分足や30分足でRSIの動きを見て売りの場合は、70%以上から下降したとき、買いの場合は30%以下から上昇したときを狙うといったような売買判断をします。
これには、エントリーの理由づけとしての意味合いが強いです。長期取引の場合は、売買サインが出た時を見逃してしまうことが多いため、エントリーの理由づけをするためにこの活用方法が有効となります。
RSIについての、さらに詳しい解説は下記リンクより読むことが出来ます。
《RSIの正しい使い方|チャート分析の視点が変わる》
6:相場分析が得意な【MACD】
MACDはトレンド系指標の移動平均線から算出されるオシレータ系指標で、価格のトレンドと売買タイミングを同時に見ることができる便利なテクニカル指標です。一般的にMACDとシグナルのクロスによる売買サインが使われています。
・MACDとシグナルが0より上なら上昇トレンド、下なら下降トレンド
・MACDがシグナルを上抜けたら買い
・MACDがシグナルを下抜けたら売り
・MACDとシグナルが乖離し、乖離幅が縮んだら決済
・MACDがダイバージェンスしたらエントリー
■エントリーのタイミング
買い・・・MACDとシグナルが0よりも下にある時に、MACDがシグナルを上に抜けた場合
売り・・・MACDとシグナルが0よりも上にある時にMACDがシグナルを下を抜けた場合
下記がイメージです。
↓※(MACDが緑、シグナルが黄色)
しかし、MACDは売買サインを計るよりも、MACDとシグナルの位置を見る方が重要です。売買サイン自体は、細かいタイミングを計るなら別ですが、トレンド系テクニカル指標の方が有効に活用できます。どうしてもダマシが多いのでMACDでは売買タイミングを計るよりも相場の流れを見る方が適しています。
MACDとシグナルが、0より上にあり、上昇していれば上昇トレンド、0より下にあり、下降していれば下降トレンドと判断します。
これを1時間足~日足に表示して、長中期のトレンドを見ます。とくに、トレード開始前の相場分析をするときに、この作業をすると分析しやすくなります。
テクニカル指標というと、売買タイミングを計るために使うものという面を重視してしまいますが、相場分析も立派なテクニカル指標の仕事です。特に、大きな流れを見るときにはオシレータ―系指標は使いやすいです。またMACDは値動きとほぼ同じ動きをします。過去チャートの分析をするときに活用しましょう。
トレンドの見極めに使える【ストキャスティクス】
ストキャスティクスも、RSIと同様に買われすぎや売られすぎと判断するためのテクニカル指標です。ストキャスティクスでは、「%K」と「%D」「%SD」という曲線を用いて売買ポイントを探ります。
■%K
ある期間内の最高値と最安値の間で、現在値がどこにあるかを示します。
現在値が最高値と最安値の真ん中であれば%Kは50になります。
■%D
%Kの平均線で、%Kよりも少し遅れて動きます。
■%SD
%Dの平均を表しています。
また、ストキャスティクスには2種類あります。
■ファストストキャスティクス
「%K」と「%D」の2本の線を使ったもの
■スローストキャスティクス
「%SD」と「%D」の2本の線を使ったもの
下記がイメージです。
↓※(%Kがオレンジ、%Dが青、%SD緑)
「%K」は、ある期間における価格の上下の動きで、直近の終値がどの位置にあるかを見る指標です。「%D」は、「%K」を移動平均化したもので、「%SD」は「%D」を移動平均化したものです。そのため、「スローストキャスティクス」は現在の価格より若干遅行性がありますが、より動きがなめらかになるため、「ファストストキャスティクス」よりもダマシのサインが少なくなります。
主な活用方法はレンジ相場(※4)の時です。たとえば、移動平均線やボリンジャーバンドなどでトレンドがはっきりしない状態の時にストキャスティクスを表示すると、レンジ相場中の細かい上昇や下降に反応して売買サインが出ています。そのため、レンジ相場でのトレードや、レンジからトレンドが発生するポイントを見極めるために使うことができます。
下記がイメージです。
↓※ストキャスティクス+移動平均線(赤)
レンジトレードの場合は、移動平均線がローソク足に絡み合っているのを確認してから、ストキャスティクスのサインに合わせて売買を繰り返すことで細かな利益を稼いでいけます。また、レンジからのトレンド発生を見極める場合も同様に、買いエントリーを狙う状況なら30%以下から上げるタイミング、売りエントリーを狙う状況なら70%以下から下げるタイミングを狙うことで、トレンド発生直前からのエントリーが出来ます。
レンジとは相場上での売りと買いが、一定の値幅にて上下を繰り返している相場の事を意味します。そのような相場展開のことをレンジ相場と呼びます。
ストキャスティクスについての、さらに詳しい解説は下記リンクより読むことが出来ます。
《仕掛けるタイミングが一目瞭然!ストキャスティクスの正しい見方》
まとめ
「いつ買っていつ売るのか」の判断はどれだけ投資を続けていても難しいことです。しかし、投資で継続的に利益をあげるためには、相場を分析して勝つ確率を高めていくことが必要となります。そこで、各指標の特徴や活用方法などを把握したうえで、価格の動きから売買タイミングを判断するテクニカル分析を活用してみてください。
投資のが学校ではこのテクニカル指標について、一部さらに詳しい内容を無料オンライン講座で公開しています。興味のある方は下の「小次郎講師7step安定投資家への道」をぜひご覧ください。
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どれも10分ほどで学べる内容になりますので、通勤時間や寝る前のちょっとした時間にご覧ください。