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パラボリックの見方|最も有効な使い方

パラボリック」とは、RSIの考案者でもある
米国のチャート研究家J・ウェルズ・ワイルダーによって開発された
トレンド追随型のテクニカル分析です。
トレンド追随型は、相場の方向性を探るものとして活用されるテクニカル指標です。

そこで今回は、テクニカル指標の中でも特に重要な「トレンド追随型指標」の一つである
パラボリック」について解説します。
パラボリックの特徴から最も有効な使い方までお伝えしていきます。
 
 

パラボリックの計算式

パラボリックは、SAR(Stop And Reverse Point)※1
という2本の線を描き、売買のタイミングを判断していきます。


 
 

※1 SAR
保有しているポジションを一度手仕舞い、
その後すぐに反対のポジションをとったときの価格のこと。

 
パラボリックの計算式は、以下のようになります。


 
AF:加速因数といい、新値更新ごとの加速率、初期値からの増加分を表します。
加速因数は、0.02を使用することが推奨されています。
これは、パラボリックの考案者であるJ・ウェルズ・ワイルダーの経験則から、
0.02が妥当とされています。ちなみに上限値は、0.2となっており、
このAFの数値が大きいほど値動きに近づきますが、その分ダマシが多くなります。
逆に、数値を小さくするとSARの線が緩やかになり、
ダマシは少なくなりますが、売買サインの出現するタイミングが遅くなります。

EP:上げ相場では、そのトレンドの最高値、下げ相場では、
そのトレンドの最安値となり、あるトレンドでの最大値のことです。

上記の式によって、当日のSARを求め、その値を繋げた線がパラボリックとなります。
 
 

パラボリックの特徴

パラボリックは、前述したようにトレンド追随型のテクニカル分析であると同時に、
ドテン(途転)のシステムとも言われます。
ドテンとは、保有しているポジションを手仕舞い、すぐに逆のポジションを持つ売買システムのことです。

例えば、今まで買いポジションだったのが、あるタイミングで買いポジションを手仕舞い、
すぐに売りポジションをとります。これを、ドテン売りといいます。
逆に、今まで売りポジションを持ちっていながら、あるタイミングで売りポジションを手仕舞い、
すぐに買いポジションをとります。これを、ドテン買いといいます。

つまり、ドテンシステムを使った売買を行うということは、
常にどちらかのポジションを持つことになります。
 
 

売買サインの見つけ方

・買いサイン


 
 
上図のように、SARが価格より上にあるときは下降トレンドになります。
そのSARを、価格が上回ったタイミングが買いサインになります。

・売りサイン


 
 
上図のように、SARが価格より下にあるとき上昇トレンドになります。
そのSARを、価格が下回ったタイミングが売りサインになります。

次の図は、ドル円日足チャートになります。
赤丸で囲んだポイントが買いサイン、青丸で囲んだポイントが売りサインです。


 
 
パラボリックはドテンシステムと言われていますので、
このチャート上でドテンシステムによる売買をしてみると
最初の赤①のポイントで買いポジションを取ったとき、
青①のポイントに来たときに買いポジションを手仕舞い、
すぐに売りポジションを取ります。

そして、赤②のポイントに来たとき、今度は売りポジションを手仕舞い
すぐに買いポジションを取ります。
売買サインのポイントにくるたび、今あるポジションを手仕舞い、
すぐに逆のポジションを取る売買をドテンといいます。
パラボリックは、このドテンシステムの売買をするのに役立つテクニカル分析です。
 
 

実践での注意点

パラボリック実践で使用する場合には、いくつか注意点があります。
トレンドの転換点を計ることができる優れたテクニカル指標ではありますが、
デメリットがあるのも事実です。
ここでは、パラボリックを使用する際の注意点について解説します。
 
 

他のテクニカル指標と組み合わせる

パラボリックは値動きが小さいとき、
つまりトレンドが発生していないレンジ相場では、
売買サインが遅れて出現したり、売買サインが頻繁に出現したりします。
値動きが小さいと、パラボリックによる売買サインとは
逆方向に価格が動く可能性が高くなります。

そのため、パラボリックのみを使って売買の判断を行うことは
避けるべきであり、その他のテクニカル指標と組み合わせて
売買の判断をしていくことが重要になります。
 
 

往復ビンタ

買いポジションと売りポジションの両方で損失を出すことを
「往復ビンタ」といいます。
例えば、買いポジションを取っているときに、価格が下がったため損切りをし、
売りポジションをすぐに取ったとします。
しかし、価格はそこから上昇を始めたため、また損切りを行うことになります。

最初の買いポジションを持ち続けていれば利益を出せたのですが、
損切りをしてドテン売りを行ったがために、損失を拡大させてしまったのです。
ドテンシステムを使った売買には、
この往復ビンタにより損失を拡大させてしまうリスクがあります。
もちろん、ドテン売買がうまくいけば、
利益を増やすことも可能ですが、実際には難しいものなのです。
 
 

パラボリックの最も有効な使い方

パラボリックを売買サインとして扱うことは、ドテン売買になります。
しかし、ドテン売買は注意点として挙げたように、
買いと売りの両方で損失を出す、「往復ビンタ」に合う可能性があり、
ドテン売買で安定した利益を上げることは、一般投資家には難しいものです。
そこで今回は、ドテン売買ではない、パラボリックの使い方をご紹介します。

トレイリングストップとしてパラボリックを使う

ドテンシステムは4-1項で解説しましたように、
値動きが小さいレンジ相場では有効活用できません。
そこで、現在は「トレイリングストップ」※2
としてパラボリックを使用することが多くなりました。

※2 トレイリングストップ
はじめに買いポジションを取ったときに設定したロスカットラインを、
価格の上昇に合わせて切り上げていくことです。
例えば、1,000円で買ったときに900円で設定したロスカットラインを、
価格が1,100円に上昇したら1,000円に引き上げます。
そして価格がさらに1,200円まで上昇したら、
ロスカットラインも1,100円まで引き上げていきます。

このように価格の上昇に合わせて、
ロスカットラインを調整していくことを
トレイリングストップと言います。

 
基本的なトレイリングストップの考え方では、
価格が横ばいになったとき、または下落しているときにロスカットラインは動かしません。
また、通常のトレイリングストップのデメリットとして、
価格の上昇幅に合わせてロスカットラインを引き上げるため、
一時的な押し目でロスカットラインに引っかかってしまうということがあります。


 
 
しかし、パラボリックを使ったトレイリングストップには、
通常のトレイリングストップの考え方とは違う点があります。
以下にパラボリックによるトレイリングストップの特徴をまとめてみました。
 
◇価格上昇時
・価格の上昇に応じて、ロスカットラインも引き上げる
・ただし、上昇幅は価格の上昇分と同じではない
・価格が加速を付けて一気に上昇する時は、価格と間隔をあけて上昇する
・価格の上昇が緩やかになったら、価格との間隔を詰めながら上昇する

価格が一気に上昇したときに、ロスカットラインの上昇幅を小さくする理由は、
一時的な押し目が発生してもロスカットラインに引っかかることを防ぐためです。
また、価格の上昇が緩やかになったときに、ロスカットラインを価格に近付けるのは
トレンドが転換したときに、早めにロスカットができるようにするためです。
 
◇価格横ばい時
・横ばいのときも、ロスカットラインは次第に上昇していく
 
◇価格下降時
・価格が下げ出しても、ロスカットラインは次第に上昇していく

価格が横ばい、下降したときでもロスカットラインを引き上げる理由は、
トレンドが転換し、価格が下がり始めたときに、
早めにロスカットラインに引っかけることで、損失をなるべく小さくすることができます。
 
 

6:まとめ

パラボリックとは、
ドテン売買のサインとして使われるテクニカル指標と最初に紹介しましたが、
ドテン売買は値動きの小さいレンジ相場では有効活用ができません。

そこで今回は、
パラボリックをトレイリングストップとして使う方法を紹介しました。
価格の上昇幅に合わせてロスカットラインを引き上げる、
通常のトレイリングストップと違い、
一時的な押し目が出現してもロスカットラインに触れず、
尚且つトレンドが転換したときは、早めに損切りができるように
ロスカットラインを引き上げることができるという特徴があります。

パラボリックがどのような特徴を持ったテクニカル指標であり、
ドテン売買としてではなく、
トレイリングストップとして使うことのメリットを理解していただき、
トレイリングストップとしてパラボリックを使ってみてください。

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