相場解説

消費税増税による投資家への影響とは?【19年9月相場解説】

今回は9月の相場の定点観測に加えて、消費税増税が私たちの投資生活にどのように影響を与えていくのか解説していきます。

2019年9月の日経平均とNYダウの動き

日経平均

まず日経平均についてみていきましょう。

日経平均の動き

去年(2018年)の10月から大きく下がり始める。

今年の1月から4月は上がる。

5月で下がる

6、7月は上がる

8月下がる。

8月の中旬に底を打ち、現在は上がってきている。

この上げが本物になるのか、それともあや戻し(下げ過程の中の一時的な上げ)なのかを見極めるのが一番のポイントと言えそうです。もしかしたら、今年起こった流れが変化し、大きな利益につながる局面に来ているのかもしれません。

NYダウ

また、NYダウの動きを見ると、以下のことがわかります。

NYダウの動き

去年の10月から12月は下がる。

今年1月から4月は上がる。

5月は下がる。

6、7月は上がる。

8月は下がって8月中旬から上がり出す。

日経平均とNYダウの上げ下げの期間は同じですが、幅が違うことがわかります。そのため、日本の平均株価は右肩下がりで、アメリカの平均株価は右肩上がりです。直近の高値を更新すると、史上最高値を更新することになるので、アメリカの経済は決して悪い状態だとは言えません。

2019年9月の世界の為替相場

DAX・CAC40

8月に下がったのは4回目の米中貿易戦争が影響していますが、すでにその影響も解消されつつあるとわかります。

ドイツのDAXは8月に下がってから回復の兆しが見え、フランスのCAC40は下がった分をほぼ取り返して高値更新しているからです。

世界中の株価が8月の安値を回復しつつある。

為替

次に為替の動きを見ていきます。

5月から続いた円高相場が7月に一瞬戻り、8月になって強烈な円高がありました。この強烈な円高が横ばい状態になって、今、帯の中に短期移動平均線が入りました。

この為替の動きと日経平均の動きは、ほぼ同じ動きをしている。

世界との比較

また、長期の円高相場が流れが変わるのかどうかも重要なポイントです。ここで以下の世界中の為替を比較していきます。

下がってると円高、上がっていると円安。つまり、0ベースよりも上にあると円よりも強い通貨、下にあると円より弱い通貨ということです。

それぞれの為替相場を比較すると、ほとんどの通貨が円より弱いことがわかります。円が一番強いのです。それが8月になるとさらに拍車がかかり、ほとんどが円より弱いのがわかります。円に次いで強いのがスイスフラン、その次に強いのがドルです。

9月に入ると、円だけでなくドルも売られ出しています。円、ドル、スイスフランは安定的な通貨であるため、世の中が不安定になると買われます。そういった動きに対して、揺れ戻しの動きが出てきているのです。この揺れ戻しが本格的に続いていくのか、一時的なものかを分析することが大切です。

金・銀・プラチナ・銅

次は金・銀・プラチナ・銅の動きを見てみます。

6月から一貫して上がり続けていることがわかります。金が5月ぐらいから上がり始めているのに対して、銀は7月ぐらいから上がり始めました。そして、プラチナが8月くらいから急速に上がり始めました。金、銀、プラチナが買われるのは、世界が不安定だからです。しかし、金、銀、プラチナは上がり始めた後、売られているのがわかります。

銅は、金銀プラチナとは反対に、世界の景気がいいと買われ、景気が悪いと売られます。銅の6月からの動きを見ると、どんどん下がっていることがわかります。中国が工事のために銅を沢山使うため、中国の景気が良いと銅は上がるはずです。銅の価格がどんどん下がっていくということは、中国の景気が悪いということを意味します。しかし、その後銅が上がり始め、金銀プラチナが下がり始めており、流れが変わっています。

金利

次に、金利の動きを見てみましょう。

金利は去年(2018年)の10月から下がり始め、現在に至るまで下がり続けています。アメリカだけでなく、日本、ドイツ、イギリス、イタリアと世界中の金利が下がっているのです。

長短金利差は少し変化を見せています。アメリカの10年物の国債とアメリカの2年物の国債の差で、長期金利と短期金利が逆転し始めました。長短金利差が逆転するということは、景気が非常に先行き不安定ということを意味します。また、アメリカは長期金利がずっと下げ続けていましたが、ついに底打ちが近づいてきているという予兆が見えてきました。

米中貿易戦争の影響

ここでファンダメンタルズに入ると、米中貿易戦争に関してロイターのニュースでは以下のように報じられています。

・米中両国が閣僚級の通商交渉を開催することを合意したのを受け、通商面の緊張が緩和するとの期待が高まった。

・それを受け、アメリカの株式市場では主要株価3指数がそろって大幅上昇して終えた。

確かに、これまでずっと下がり続けていたのが、8月から変化が見えたことは間違いありませんが、それは米中貿易戦争の影響ではありません。なぜなら、米中は去年からずっと報復関税の応酬を続けており、現在に至るまで少しでも緩やかな方向に動いたことはないからです。米中に雪解けムードが出ているという事実はありません。

また、習近平が共産党の幹部養成コースで演説しました。そこで習近平は、安全保障上の懸念から金融リスクに至るまで多岐にわたる問題の克服に向けて闘争の精神を持たなければならない、と話したのです。つまり、米中間の戦いは長期間続くと習近平は覚悟しているいうことです。

米中貿易戦争に加えて、イギリスのEU離脱と香港でもの問題は日本経済に大きな影響を与えます。イギリスのEU離脱問題では、ボリス・ジョンソンが首相になってから、EU離脱の可能性がぐっと下がりました。これは世界の市場にとって良いニュースです。香港でもの問題では、デモ隊の五箇条の要求のうち通ったものと通ってないものがあるため、デモはまだ継続するという見方と、少しずつ沈静化していくという見方があります。

 

10月1日が大きな鍵を握る

 

相場の予測については、10月1日に行われる中華人民共和国建国70周年が重要な鍵を握っています。このイベントでは習近平が世界中から要人を読んで演説をするため、習近平は香港のデモ隊を刺激したくありません。また、中国は10月1日から国慶節のため1週間休みになります。この時期はトランプ大統領が騒ぎ立てても習近平から良い返事を引き出すことはできないため、アメリカと中国は休戦状態になります。

10月1日から1週間は平和な状態が続き、それが終わった後にさらに上に行くか、急速に再度下げになるか、新しい動きが始まる。

消費税増税の影響

増え続ける負担

次に、消費税増税が日本に与える影響について矢口新先生が検証していきます。消費税増税は、建前上は、社会保障の財源にするために必要なものとされています。社会保障の財源は、70%が社会保険料、あとの47%は借金と税金です。1990年から2016年にかけて、急速な高齢化率の上昇を背景に、税金と借金は約3倍となり、保険料は1.7倍となりました。

また、医療技術の進展によって長生きできるようになった反面、年金などの負担も増えました。政府発表では年金だけの生活だと老後2,000万円不足するとのことです。国民年金と厚生年金の平均支給額はそれぞれ5万円と8万円、合計で13万円。現役世代は年金ももらえず給与も上がりません。将来満足に受け取れない年金を、今を犠牲にして支払うことを義務化される恐ろしい制度です。さらに、これから負担は増え続けます。しかも、増え続けても受給額は減額しか考えられません。

そして現在、歳出に占める社会保障費の割合が34.1兆円で最も多く、その次に多いのが国債費です。国債費はマイナス金利やマイナス利回りの影響で少しずつ下がっています。一方、歳入は所得税が一番多くなっていますが、他と比べて若干多いだけであり、増税によって消費税が一番になります。

税収のピークは1990年の60.1兆円。ピークになった理由は、それまで税収がコンスタントに上がっていっており、消費税導入されたことで、税収が上乗せされたからです。しかし、消費税導入したことでその後の税収は減っていき、税収減は借金で賄うことになります。

日本は世界的に見ても借金が突出して多く、2位がギリシャ、3位がベネズエラ、スーダン、レバノンと続きます。日本が問題視されない理由は、日本の借金のほとんどは国内が資金を出しているからです。海外資産の方が債務より大きいので、日本は大丈夫だと考えられています。ところが、海外債権については国内の貸し手は全部民間なので、実は国を支える力は政府にはなく、民間にあることになります。そのため、日本の信用は民間で成り立っていると言えるのです。

消費税の特徴は、子供から老人まで幅広く徴税ことができ、景気の影響を受けにくく、安定した財源になることです。また、消費税増税で税収が安定的になるのは、企業の売り上げにかけるからでもあります。法人税をあてにすると、成長できない企業からの徴税は当てにできないので、成長する企業にもしない企業にも、早いうちから徴税してしまえという思惑があります。

しかし、そうすると日本経済や企業の成長力は奪われてしまいます。消費税を5%に上げてから、1997年の名目GDP534兆円をいまだに抜くことができていません。2016年に30兆円計算方法の見直しをしてから抜くことができましたが、その操作がなければ抜くことはできていないのです。

消費税増導入により、企業は売り上げがあってもなくても、しっかり徴税されます。それにより、所得税と法人税の税収は減ることになります。一番ひどい時で税収は38.7兆円まで減ってしまいました。しかし、歳出は増え続けており、現在は赤字が累積赤字となっています。

つまり、元々の原因は消費税増税と考えられる。

経済成長についてみると、消費税が3%のときは最初だけ上がってすぐに減速し、5%なると原則どころかマイナスになります。ところが、8%になってから少し伸びています。この原因は日銀が景気拡大のために金融緩和をしたからです。輪転機でお金を吸って、お金で成長を買ったということです。

1997年の名目GDPは財務省の数字で534兆円(内閣府の数字で533兆円)となっており、当時の日銀の資金供給量は50兆円。

つまり、資金供給料を10倍にすることでやっと昔のレベルに戻すことができたというのが、日本経済の実態。

失われた20年

内閣府の資料では、はっきり成長が鈍化しているのが1990年、成長が止まったのが97年。つまり、1989年に消費税が導入された直後から成長はしなくなり、5%に上がると成長はしなくなります。そして、1990年になると、法人税を免除される赤字企業が急増します。

1989年の税制緩和では、単に消費税が上がるだけではなく、法人税の減税も行いまいた。企業の負担は軽減されましたが、消費税増税の方が効いたため成長が止まります。企業は成長が止まったにもかかわらず、消費税増税で収益拡大を要求されため、人件費、研究開発費、設備要旨などのコストカットを行います。

そのしわ寄せが生産年齢人口に及び、少子化につながりました。コストカットの影響で非正規雇用が増え、雇用不安で所得も増えないからです。中産階級も没落しているので、家計から企業への所得移転が進みましたが、パイそのものが増えていないので企業は成長していません。

日本株は底堅い

日本株について見てみると、現在一番買っているのが日銀、次に買っているのが事業法人です。信託銀行は、年金が売っていたのに、上げの局面で売りました。ここで信託銀行は資産配分を見直し、株式の枠を広げました。それ以来枠は広がっていないので、安い時には買いますが、高くなってきたら買えません。そのため年金が下がってきたら間違いなく買い手になるでしょう。しかし、実際にはずっと買っていたのは日銀や事業法人で、外国人は売っています。

日本とアメリカに共通するのは、フリーキャッシュフローよりも多く自社株買いを行っていることです。なぜなら、日本もアメリカも、税制改革、金融緩和、低金利で調達できることにより、企業が金を持っているからです。自社株買いをする理由は、貿易摩擦の影響があるため、設備投資にお金が行き届かないからです。キャッシュがあってそれを使わないと、そのキャッシュを元にレバレッジでバイアウト(買収)されてしまいます。それを防ぐには、キャッシュを使って株価を上げるしかありません。それが、アメリカで起きている自社株買いです。

要点まとめ

足下の日本株やアメリカ株に関しては企業がキャッシュを持っているので自社株買いを見込め、日本株に関しては日銀が買っていき、また下がりが年金が買っていくため、基本的には底堅さがありそうだという見方で間違いない。問題は上値がどこまであるか。

※本記事は小次郎講師と矢口新先生による2019年9月の相場解説の内容を元に作成しました。

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