相場解説

G20後、相場はどう動く?【19年7月相場解説】

2019年上半期の日本と世界の相場

2019年の上半期が終了し、G20も終わりました。今度どのように相場が動いていくか非常に読みにくい状態ですが、どのような切口から判断していくべきか、そのヒントを今回お伝えしていこうと思います。

まずは世界各国のチャートを確認していきましょう。

日経平均

日経225は2018年の10月から下がり、12月26日に底打ちしました。2019年に入ると、4月末まで非常に高かったですが、10連休の後に売られました。売られたものは現在ステージ1であり、下げ幅の半値ぐらい。そのため、上がっているというより、全体としてはもみ合い相場のようになっているのが日本の状態です。

NYダウ

それに対してアメリカは、2019年の1月からずっと安定的に上がってステージ1。5月に少し下がり、6月に上がっていくと高値を更新しました今年の前半は大変株が高い半年だったと言えます。

DAX指数

ドイツの2019年の動きは、1月からステージ1でずっと上がり、5月に下がったあと、6月から高値を更新して上がっています。ずっと一本調子で上がっているのがドイツの状態です。

CAC40

フランスは2019年の1月からずっと上がって5月に下がり、その高値を更新して上がってきました。フランスも非常に安定しています。

FTSE100

EU離脱で心配なイギリスも2019年の1月から4月まで上がり、5月は下がって、高値を更新して上がっています。

今年の前半はヨーロッパもアメリカも高値を更新して安定期に上がっているにもかかわらず、日本だけ異なっている。

世界の株が上がっているので、株を買いたいと考える人も多いかと思いますが、世界経済は歪な状態に入っていると見ることができます。2018年の10月から株が下がっている最も大きな理由は、米中貿易摩擦です。

S&P500

S&P500を見ると、今年の前半は米中貿易摩擦に解決の兆しが見えたことから上がりましたが、5月の連休最終日にトランプ大統領が25%の関税を中国にかけるという話が出てから、急落しました。ところが、6月になると一転して上げだして高値を更新しました。

ナスダック

最も中国の影響を受けるナスダックをみてみましょう。今年の前半上がり、5月下がった後、去年の高値を更新して史上最高値更新をしました

次に金のチャートを見てみると、高値を更新してきているのがわかります。金が上がっている理由は、世界経済の先行きが不透明で、下振れリスクがあるからです。金は通常急騰していくと暴落しますが、陰線が出た後も大きな陽線で切り返して高値を更新していっています。つまり、金は現在強い上昇トレンドがあることがわかります。

米中貿易摩擦の影響

株が世界中で上げだした理由

株が世界中で上げ出している理由は、世界が急に金融緩和の時代に戻ったからです。2008年、リーマンショックがあったときにで世界経済はずたずたになり、そこから立ち直るために世界中が金融緩和をしました。アメリカでは、リーマンショックの前の政策金利が5.25%です。リーマンショック後、5.25%から0.25%まで一気に下げました。リーマンショックから10年以上経ち、2、3年前から金融緩和を必要がないということになり、アメリカは金利を2.5%まで上げていきました。これからアメリカはさらに金利を上げ、元に戻していくはずが、急に世界中の国で利下げが始まりました。その理由は、米中貿易摩擦によって世界経済に大変な下振れリスクがあるからです。

G20

米中貿易摩擦について見ていく上で、まずは6月に開催されたG20の解説をしましょう。

安倍首相は以下の大阪宣言を採択しました。

・自由・公正・無差別な貿易体制の維持・発展

・海洋プラスチックごみ、2050年までにゼロ

トランプ陣営と反トランプ陣営の双方に気を使っているのが分かります。普通は自由主義経済を守りましょう、保護主義を止めましょうという宣言が採択されますが、それではトランプ大統領が賛成しません。ここに自由という言葉を入れるのは、トランプ大統領以外を納得させるのが目的です。トランプ大統領は現在の色んな貿易体制を差別だと言っているので、差別をなくそうというトランプ大統領と、自由主義を守ろうというトランプ大統領の話をこれを全部まとめたのがこの宣言だと見ることができます。

海洋プラスチックごみを解消するというのは、実はトランプ大統領とその他の人が唯一納得する話です。海洋プラスチックごみを無くすことは簡単な話ではなく、2050年までに解決するという目標が掲げられています。しかし、2050年になれば、今の責任者は誰もいなくなってしまいます。

G20でそれ以上に大事なのは、6月29日に開催された米中首脳会談です。結果としては第4弾の対追加関税を見送りファーウェイのような中国を代表するIT企業に関する禁輸を一部緩和しました。通商交渉をこれから行うという話もあり、株価が上げ出しました。

現在の米中貿易問題

米中の貿易問題は現在、どのような状態でしょうか。

まず、G20前までの話をすると、2018年の7月にアメリカが中国に340億ドルの輸入品に25%の関税をかけると、中国もすぐ対抗しました。8月に160億ドルの中国からの輸入品に25%の関税をかけると、中国はすぐに対抗しました。その後、2000億ドルに10%の関税をかけました。来年にはこれを25%にするが、とりあえず今は10%だという脅しの意味をこめています。これに対して、中国は完全に対抗できずに600億ドルに対して5%と10%の関税をかけました。

アメリカから輸入しているものがこれで終わってしまうので、関税をかけようがない状態です。中国経済と世界経済に悪影響を与えるということで株価が下げだし、2018年の10月から12月まで大きな下げがありました

年が明けると、アメリカと中国が貿易協定をどんどん進め、妥協点が見いだされました。中国が相当妥協したことで、340億ドルに対する25%、160億ドルに対する25%、2000億ドルに対する10%を暫時解決していくという話になりました。

2019年の1月から4月まで問題解決のムードが出て、ゴールデンウィークの10連休最後の日にネガティブサプライズがありました。トランプ大統領がこの2000億ドルの10%を25%に上げるという決断をしたのです。これは5月10日に実施されました。それまではこの合計500億ドルに25%、2000億ドルは10%だったのに、今はこの500億ドルは25%残ったまま、2000億ドルが10%から25%になりました。去年と今現在で比べると今の方が悪い状態だとわかります。

ファーウェイ問題とは

ファーウェイの禁輸の問題は5月に出てきました。ファーウェイは5Gを牛耳っている会社です。この5Gの覇権争いというのは普通の経済の争いではなく、防衛にも関わる問題です。何故なら、あらゆるものがITで管理されるからです。スマホ1つで電気がつけられ、お風呂が沸かせられ、家のセキュリティがスマホで解除できます。5G の覇権を握れば、特定の地域を停電にしたり、特定の地域のセキュリティを全部解除する、といったことができます。アメリカ、中国はその覇権争いをしているので、ちょっとやそっとでは解決する話ではありません。

今後の見通し

2019年7月のメインスケジュールに関しては、7月25日にECBの理事会があり、7月29、30日に日銀の金融政策決定会合があります。30日31日にはアメリカのFOMCがあります。どれも金融緩和をして大胆な政策を取ってくるのではないかという見通しがあります。

前回のECBの理事会では、英国のEU離脱をめぐる先行き不透明感の他、一部の新興国の脆弱性をめぐる不確実性は我々の予想を超えて増大したため、金融緩和を更に行わなければならないという発表がありました。そして、日銀の金融政策決定会合のあと、黒田さんは「海外経済に関する下方リスクが拡大した。さらに悪化した場合は躊躇なく追加緩和に踏み切る」と発言しました。そしてアメリカのFOMC、パウエルFRB議長の発言など、どの発言も世界経済の下振れリスクと金融緩和の必要性について言及しています。

次回のFOMCは7月30日、31日にあり、市場はアメリカが利下げに切り替わることを100%織り込んでいますが、実際にFOMCで利下げがあるかはわかりません。そのため、現在株価が世界中で上がっているのは金融緩和期待です。しかし、世界中で株が上がっていっている中では金融緩和はやりづらくなります。

投資チャンスはこれから来る

ここで一番注目していただきたいのは、7月にアメリカの利下げがあるのかないのかです。現在、世界で金融緩和があり、アメリカのFOMCで利上げから利下げに転換することを読んで株価が上がっています。そんな中で、7月の末に利下げができるのでしょうか。アメリカの株価っていうのは市場最高値を更新したことはいくらでもありますが、史上最高値更新の中で金利を下げたことは一度もありません。そのため、史上最高値更新の中、アメリカが利下げを断行するはできないのです。そのため、すると、来月の29、30日にアメリカの利下げがあるという話には何の保証もありません。株と債券、金のトリプル高はこのような歪な構造の中で起きていることを理解すると、投資のチャンスがこの先訪れてくるでしょう。

私たちがやるべきことは、金市場と10年債の債券の値動きと株式市場を全部見つつ、世界経済はいびつな状態であるということを頭において、今後反転するかもしれないと思って行動すること。

 

 

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